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ラジウム温泉の正体はラドン

―ラドンを利用した温泉療法―
 

ラジウム温泉の中身はラドンである

ウランは科学的に不安定で高エネルギーな物質ですが、壊変といって、時間とともにエネルギーを放出しながらさまざまな物質に変化していき、最終的には安定した鉛になります。ウランがエネルギーを放出しながら崩壊していく過程でラジウムやポロニウム、ビスマス、鉛などが出現しますが、キュリー夫人が発見した(ポロニウムもキュリー夫人が発見)ラジウムは、一度は誰もが耳にしたことのある名前だと思います。

そのラジウムが壊変した物質が、ここで取り上げる「ラドン」です。ラドンは無色無臭で不活性な気体です。

ウランは通常地殻の深くに存在する物質ですが、マグマとともに地上近くにまで押し上げられ、ゆっくり固まることでウランを結晶として含有する花崗岩がつくられます。その花崗岩が風化すると、ウランは単独で放出されて地下水に溶け、堆積します。
こうして地下にウランを多く含む層ができます。そのウランが壊変する過程でラドンが発生します。

通常、ラドンは地下に堆積していて地表には現れにくいのですが、地下水の湧出などにより温泉として地上に出てくるのです。湧出する際、高濃度のウランを含む地層を通ったお湯は、ラドンを高濃度で含む温泉水になります。

ある一定量以上ラドン量を含む温泉を法律では「放射能泉」と定義していますが、これがいわゆるラジウム温泉です。その実態は「ラドン」なのです。


ラドン浴の医学的応用

ラドン浴といえば、古い坑道を利用したオーストリアのバドガシュタインが著名ですが、わが国では岡山大学が、ラジウム温泉として有名な鳥取県の三朝温泉に「岡山大学三朝医療センター」を開設して、実際に患者治療に放射能泉を利用しています。

対象疾患としては、呼吸器系疾患、関節リウマチ、神経痛、消火器疾患、高血圧、動脈硬化、糖尿病、老人性疾患などです。入院患者も受け入れていますが、外来患者の数は1日平均100人以上にも達します。

三朝医療センターでは、ラジウム温泉水を利用してさまざまな温泉療法を施していますが、代表的な温泉療法として6つの療法を行っています。

  1. 入浴療法
  2. 温泉プール療法
  3. 鉱泥温布療法
  4. 吸入療法
  5. 飲泉療法
  6. 熱気浴療法
この中で、広い意味でラドンに期待して行われているのが4以下の吸入療法、飲泉療法、熱気浴療法です。

岡山大学三朝医療センターには、高濃度のラドンを利用した「ラドン高濃度熱気浴室」という施設があります。この施設の中のラドン濃度は約2000ベクレル(Bq/m3)、温度は42℃湿度は90%です。治療の目安となる1クールとして、1日1回40分、1日おきに3~4週間、合計で9回~12回ラドン浴を行っています。

ラドン浴の内容・回数とも、あのバドガシュタインのハイルシュトレーンの治療とよく似ています。適応症のほとんどは「
活性酸素病」に対してのもので、ホルミシス療法による活性酸素抑制効果に期待していることがわかります。

ラドンの生理作用

①    ラドンは不活性な気体なので、体のどの部分とも化学反応を起こしません。肺から90%、皮膚から10%の割合で体の中に入り、血流とともに全身に運ばれます。

②    ラドンは油によく溶ける脂溶性をもっているので、内分泌腺や神経線維になど脂肪が多い組織に集まりやすい性質があります(局所麻酔薬なども脂肪との親和性をよくして神経線維に浸透しやすくしています)。

③    半減期3・8日なので、体に入ってもすぐに出てしまいます。体に取り入れたラドンの50%は30分で消え、2時間でほとんどが排泄されてしまいます。しかしこの短い間に全身を回り、細胞に刺激を与えます。

④    ラドンはアルファ(α)線を放射します。α線とはヘリウムの原子核で、γ線、β線と比べて非常に強いエネルギーを持っています。浸透力は紙も通さないほど低いのですが、細胞に直接大きなエネルギーを放射して強い刺激を与えます。したがって組織や細胞の強い生体反応が期待できます。


(「医師がすすめる低放射線ホルミシス 驚異のラドン浴療法 ホルミシス臨床研究会編 監修 川嶋朗 東京女子医大准教授」より引用抜粋)





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